結論:SESは「条件次第」。目的がある人には使い道がある
私は基本的にSESはおすすめしない立場です。
理由はシンプルで、条件を外すと消耗しやすい働き方だからです。
一方で、次のような目的がはっきりしているなら、SESを「手段」として使う価値はあると思っています。
- とにかく早く実務経験がほしい
- 短期案件で幅広く経験を積みたい
- 結果主義でも問題なく、環境変化に耐性がある
- 自分から情報を取りに行ける(質問・交渉・調整ができる)
逆に、スキルや実務経験が少ない状態で「何となく」で入ると、かなりしんどい環境に当たる可能性があります。
私の体感では、経験が浅い人が入れる案件ほど、途中から増員(=何か問題が起きている)であることが多く、無茶振りが発生しやすいです。
受託開発や自社開発のように、段階的に教えてもらえる環境は期待しない方が安全です。
「分からないことを質問するのは当たり前」ですが、実務経験が少ないと、そもそも 何が分からないか分からない 状態になりがちです。
たとえば、初めてプログラミングを勉強していたときに
「検索しても解説が分からない → さらに検索しても分からない」
というループに入った経験はないでしょうか。あれに近い状況が続くことがあります。
この記事では、私のSES経験(個人的な感想含む)をベースに、メリット・デメリットと、外れ案件を避けるための観点をまとめます。
※この記事はSESを全否定する意図ではなく、向き不向きの整理とリスク低減が目的です。
SESのメリット(高収入/経験/決まりやすさ)
1. スキルが低くても高収入になりやすい
SESは、スキルや経験が浅くても給与が高めになるケースがあります。
会社にもよりますが、見込み残業が多めに設定されていることが多い印象です。
私の場合は見込み残業が 40時間/月 でした。
そのため、月給は 30万円を超えることが多かったです。
また、案件によっては単価が高くなり、給与も上がることがあります。
難易度が高い案件や、人気が低めな言語・領域(例:COBOL、C言語など)は高額になりやすい傾向があります。
2. 短期案件なら幅広く経験を積める
SESは派遣(常駐)なので、案件が変われば現場も変わります。
同じジャンルでも現場が違うと進め方や文化が違うため、学べることは多いです。
「いろんな現場を見ておきたい」「適性を探したい」という目的があるなら、経験面はメリットになりやすいと思います。
3. 選考が通りやすい(仕事が決まりやすい)
自社開発・受託開発の企業に応募して面接するより、通りやすいと感じることが多いです。
経験が浅くても、とりあえず実務に入れる可能性があります。
実務経験が積めると、次の選択肢(転職・職種変更)を増やしやすいです。
個人的には、実務経験1年がひとつの分岐点になりやすいと感じています。
SESのデメリット(外れ案件/ハラスメント傾向/1人常駐/炎上)
1. 当たり外れが大きい(外れ案件を引くと消耗する)
案件によって環境差が大きいです。
私は正直、良い現場に当たった経験はあまりありません。
たとえば、
- プロジェクトは始まっているのに手付かずで、最初からスケジュールが遅れていた
- 納品日は動かせず、結果として毎日22時頃まで残業した
- 案件を丸投げされ、お客様とのやりとりも含めて1人で進める必要があった
こういった状況は、プラスに捉えれば経験になります。
ただし、経験が浅い人がいきなり背負うには負荷が高すぎることも多く、下手をするとメンタル面が先に限界になります。
経験豊富な人が大手企業の案件に入れれば良い環境もあり得ますが、一般的には「しんどい寄り」の現場に当たる確率が上がる印象です。
2. ハラスメント傾向(特に“正論”で追い詰めるタイプ)
近年、全体としてパワハラは減ってきたとは思います。
ただ、SESの現場ではまだ見かけることがあります(私の経験・感想です)。
特に厄介だと感じたのが、いわゆる「ロジハラ(ロジカルハラスメント)」です。
正論で相手を追い詰めるタイプで、言っている内容が正しいだけに、こちらが「自分が悪い」と思わされやすいのが特徴です。
仕事では、突発タスクやメンバーのフォローなど、メインタスク以外の作業が発生し、進捗が遅れることがあります。
体調が良くない日もあります。
しかしロジハラ気質の人は、そういった事情を一切考慮せず、詰める材料として使うことがあります。
私は 2時間ほど理詰めされた経験があります。
3. 1人常駐は「人間関係を自分で作る」必要がある
SESは基本的に、1人で現場に入ることが多いです。
分からないことは質問しなければ進みません。
ただ、現場の人は忙しく、関係が希薄な状態からスタートするため、自分から入りに行く力が必要になります。
コミュ力に自信がない人にとっては、かなり消耗する環境になることもあります。
4. 炎上に巻き込まれやすい(増員理由の確認が重要)
SESで途中増員が発生する背景には、
- スケジュール遅延
- 人員不足(欠員含む)
- 仕様変更が多い
など、何らかの問題があるケースが多い印象です。
もちろん全てが炎上とは限りませんが、少なくとも「増員理由」を確認せずに入ると危険度が上がります。
外れ案件を避けるために:面談で聞く質問テンプレ(コピペ可)
※すべてを一気に聞く必要はありません。自分にとって重要な順に使ってください。
体制・教育
- 参画形態は単独常駐ですか?初日から単独稼働ですか?
- 受け入れ担当(教育・レビュー担当)は誰ですか?
- 質問先は誰になりますか?(質問して良い時間帯・手段も可能なら確認)
増員理由・現状
- 今回の増員理由は何ですか?(欠員補充/遅延対策/新規機能対応 など)
- いま一番困っていること(ボトルネック)は何ですか?
- 優先順位や仕様の決定権はどこにありますか?窓口は一本化されていますか?
スケジュール・残業
- 直近1〜2か月の残業平均はどれくらいですか?
- ピーク時はどれくらいになりそうですか?
- 納期は固定ですか?調整余地はありますか?
成果物・責任範囲
- 成果物と責任範囲はどこまでですか?(運用・問い合わせ対応の有無)
- お客様対応(調整・説明)は必要ですか?誰が担当しますか?
開発体制・品質
- 仕様書・設計書などドキュメントは整備されていますか?
- コードレビューはありますか?テスト体制はどうなっていますか?
- 開発環境(PC、権限、ツール)はすぐ用意されますか?
危険サインチェックリスト(YESが多いほど外れ率が上がる)
- 増員理由が「とにかく人が足りない」「遅れを取り戻したい」
- 教育担当・レビュー担当が明確にいない
- 仕様が未確定なのに納期だけ固い
- 残業の目安が曖昧(「やってみないと分からない」)
- 窓口が複数いて指示が日替わり
- ドキュメントがほぼ無い/口頭中心
- できないと言いづらい雰囲気がある
- 「1人で回せるよね?」が前提になっている
それでもSESを選ぶなら:損しにくい考え方
私は反対派ですが、メリットもある働き方だと思っています。
選ぶなら、次のように「目的のために利用する」視点が大事です。
- 目標:まずは実務経験を作り、次の選択肢を増やす
- 方針:外れ案件の確率を下げる(面談で増員理由・体制を確認する)
- 姿勢:受け身ではなく、情報を取りに行く(質問・確認・記録)
SESをやるなら、キャリアプランを決めた上で「期限付きで利用する」くらいの感覚の方が、消耗しにくいと思います。
まとめ
SESは合う人には合いますが、合わない人にとっては負荷が大きい働き方です。
メリットもある一方で、外れ案件を引くと消耗しやすいのが現実だと思います。
- SESは「条件次第」。目的があるなら手段として使える
- 外れ案件は、面談での質問と危険サインの確認で確率を下げられる
- 自分の特性(単独常駐耐性・質問耐性・環境変化耐性)を前提に、慎重に判断するのが安全
